小児矯正・咬合育成

咬合育成とはどのような考え方か

従来の矯正治療では、歯並びが悪くなってから歯を抜いたり歯を動かしたりして整えていくという治療が主流でした。
しかし当院では、歯並びやかみ合わせが悪くなる要素を改善し、顎をはじめとする全身の成長を促して、口の機能を健康に保つことでより理想的な歯並びに導いていく「咬合育成」という新しい考え方を取り入れて矯正治療を行っています。
「育てる歯並び」という観点から、食育や口の周りの筋肉のトレーニングなども併用して、全身の健康をしっかりと支える健康的な歯並びとかみ合わせの実現を目指します。歯並びやかみ合わせが崩れる原因にはある程度は遺伝的な要素も関係しますが、大きく影響を与えるのはやはり生活習慣です。問題のある生活習慣を早い段階で改善しておくことで、歯列の不正を早めに減らしていくことが可能になります。
自然な形で歯並びが整っていくと、口の周りの筋肉が理想的に機能し、顔の表情筋もより鍛えられて笑顔が素敵になるという良い循環が生まれます。無理やり歯だけを並べてしまうと周りの筋肉と調和せずに必ず大きな後戻りが起きますが、自分で育て上げた歯並びやかみ合わせであれば後戻りしにくく、綺麗なバランスが維持できます。

矯正治療を始めるタイミング

咬合育成にはお子さんごとに相応しいタイミングがあり、そのタイミングを逃してしまうと永久歯への生え変わりを待ってから成人と同じ形の矯正治療をしていかなければならないケースが出てきます。
もっとも理想的な形は、小さい頃から定期的にかかりつけとして通っていただき、最良のタイミングで医師から提案をさせていただくことですが、それが難しい場合には、まずは骨格的な要因が絡む反対咬合(受け口)などの不正咬合の診断と治療開始の目安となる3歳前後に一度相談に来ていただくことをおすすめしています。
次のタイミングとしては、上顎の前歯が永久歯に生え変わる時期が挙げられます。その時期も逃してしまうと生え変わりが完了する中学生頃まで待たなくてはならないので、できれば小学校の低学年ぐらいまでには一度歯科医院でチェックを受けることで、機会を逃さずに適切な治療が受けられる可能性が高まります。
早い時期から咬合育成を開始して、生活習慣を整えながらある程度の不正を抑えることによって、治療が複雑化せず、後戻りもしづらい矯正が可能になります。

カウンセリングを重視した咬合育成・小児矯正

当院で矯正治療を行う際には、カウンセリングに特に重点を置いています。
近年、取り外し可能なマウスピースを用いた歯並びの治療や、拡大床装置で顎を広げる床矯正が注目を集めていますが、患者さまにしっかりと説明をして納得の上で治療に入っていただくことや、装置によって歯並びが整っていく過程を丁寧に追い、最後まで見届けることができずに、「装置を渡して終わり」になっていては意味がありません。
当院の矯正治療は第1~第3ステージに分かれており、小学生から矯正を始めた方は第2ステージからのスタートになりますが、第2ステージではカウンセリングを「矯正を始める前」「矯正装置を外す時」「生え変わりが全て終わった後」の3回にわたって行い、それぞれ1時間ほど時間の枠を取ってじっくりとお話をするようにしています。
具体的には、最初のカウンセリングで矯正のゴールをどこに設定するかを決めて、生え変わり途中で矯正装置を外す際にその後の経過観察の必要性についてお伝えし、生え変わり完了段階で検査結果とご本人の満足度を元に仕上げの矯正を受けるかどうかの話し合いするという流れになります。治療完了時のカウンセリングを行っている歯科医院は少ないですが、経年的な変化を実感し、その先の治療方針を決める上で、このタイミングで行うカウンセリングがとても重要です。

矯正治療の第1~第3ステージとは

当院で行う矯正治療では、大きく分けて乳歯列期を第1ステージ、永久歯への生え変わりが進行する混合歯列期を第2ステージ、永久歯列は第3ステージと設定しています。大きく分けて、第1、第2ステージが予防矯正、第3ステージが仕上げの一般的な矯正治療となります。
第1ステージでは一般に受け口と呼ばれる反対咬合の治療が主になります。ただし、反対咬合は遺伝的な要素が大きく、時間をかけて骨格の成長のバランスを整えていく必要があるため、長期間にわたる治療になるケースが多くなることを事前にお伝えしています。
第2ステージの矯正では、顎が小さいお子さんには矯正装置を用いて歯が並ぶスペースを作り、前歯を並べていきます。顎の拡大だけを行い、歯並び、咬み合わせを整えた後は自然の流れで綺麗に並ぶようにします。理想的な歯並びを求めるなら第2ステージを終えた後に第3ステージまで進むことが不可欠ですが、「見た目がある程度整って機能的に問題がなければそれで充分」というお考えであれば、第2ステージで終了していく方も見えます。
そのためには咬合育成を早めに始めることが大きな意味を持ちます。第3ステージにあたる中学生の時期は部活動や受験で忙しく、また思春期に入って矯正装置をつけることをコンプレックスに感じるお子さんも出てくるため、しっかりと話し合った上で治療のゴールを決めるようにしています。

「MFT(筋機能療法)」の効果的な取り組み

お口の周りや舌の筋肉を鍛えるトレーニングは「MFT(筋機能療法)」と呼ばれ、咬合育成や矯正治療の中でも大きな位置を占めます。矯正中にMFTを行う効果として、不正な咬合を防げるということや、矯正治療で整った歯並びが後戻りせずに定着することを促すということの他に、お子さん本人の意識付けの面でも高い効果があります。
また、家庭内で他のご家族の協力のもとに取り組むことが多いため、家族間のコミュニケーションツールの一つとしても考えられます。舌癖や口呼吸について家族全員で意識して、改善できていない時にはお互いに指摘し合うことで、トレーニングの継続のモチベーションを保つことが可能になります。当院ではMFTについて「ご自宅でやってくださいね」とお子さんや保護者の方に丸投げするのではなく、できた日にはチェックシートにシールを貼っていただき来院時に確認するなど、お子さんがMFTを意欲的に続けていけるような環境を整えています。

癖を直して咬合育成を行うことのメリット

頬杖やうつぶせ寝、口呼吸などの改善すべき体の癖を放置していると、歯並びに悪影響が出るだけでなく、かみ合わせのずれから歯肉炎や歯周病を発症するリスクが上がったり、口呼吸のために口腔内の唾液が減少することから飲食物による歯の着色やドライマウスに繋がったりと、多くのトラブルを引き起こします。
悪い癖を早い段階で直していくことでそれらの問題を予防することができ、嚥下(飲み込み)の癖なども改善されることから、長い目で見れば年を重ねた時に誤嚥性肺炎のリスクを減らすことも可能になります。目に見えてわかる効果としては、口の周りの筋肉を鍛えることで、より口角の上がった魅力的な笑顔になり、姿勢も整います。笑った時に歯ぐきが出てしまうガミースマイルを気にされる方がいますが、歯ぐきの見え方は筋肉のバランスによっても変化し、大人になってからスマイルラインを変えるのは難しくても、筋肉が柔らかい子供のうちであればある程度の調整ができる可能性があります。
最近では就職活動で面接官に良い印象を与えるために矯正を希望する高校生の男の子も見られるほどで、MFTを取り入れた咬合育成や矯正治療には歯並びが整う以外のさまざまなメリットが期待できます。

保険の範囲内で矯正の初回相談をお受けします

多くの矯正専門歯科医院では初回相談に相談料が設定されていますが、当院ではまずは初回相談を受けていただき、虫歯の有無をトータル的に確認した後に、保険診療の範囲内で「矯正が必要かどうか」「どのタイミングで始めるのがベストか」「どのような治療方法が適しているか」などのお話をさせていただいています。
お子さん本人や保護者の方が心から納得して治療に臨めるよう、時間をかけて丁寧な説明をするように心がけていますので、不安なことや疑問に思っていることは遠慮なくおたずねください。もちろん矯正相談をしたからといって必ず矯正をしなければならないわけではなく、家族ともじっくりと話し合って決めていただいています。
昔に比べると日本全体で歯並びへの意識が変わってきており、ご自身が歯並びやかみ合わせで悩んだ経験を持つ世代が親になって、我が子には自分と同じ思いをさせたくないという親心からお子さんを連れて相談に見える例が増えています。
今では小児矯正はごく一般的なものとなり、矯正装置をつけているせいでクラスで浮くようなこともありません。歯並びやかみ合わせで気になることがある場合、まずは気軽に虫歯のチェックと初回相談を受けることをおすすめします。

セカンドオピニオンについて

他の歯科医院で矯正を勧められた方がセカンドオピニオンを求めて当院に相談される例も多くあります。医師が相応しいと考える矯正を始めるタイミングや、治療終了までの期間、治療費の設定などは歯科医院によって大きく異なるため、納得して治療を受けていただくためには複数の医院で意見を聞くことも大切です。当院でもっともセカンドオピニオンとして多いケースは、外部の矯正医が月に数回来ている一般の歯科医院で矯正治療を受けることを検討している方が、「ブラケットが外れた」「ワイヤーが折れた」などの緊急時にすぐに適切な処置を受けられず、痛くても我慢しなければならないことに不安を感じている例です。当院では矯正に関する相談や処置をいつでもお受けしており、診療時間外であっても、矯正治療を開始された方に対しては緊急連絡先として矯正を担当する医師の携帯電話の番号をお伝えしているので、長期休みの時など、何かトラブルがあった時にも遠慮なく電話にてご相談いただけます。

小児矯正における保護者の方の役割

お子さんの矯正治療において、保護者の方の果たす役割はとても大きいといえます。
せっかく歯が綺麗に並んでも虫歯だらけでは意味がないので、まずは丁寧な仕上げ磨きをしてあげることや、お子さん本人の歯磨きがしっかりできているかの確認を続けることが重要です。
口呼吸を改善するトレーニング中であれば、普段の生活で無意識に口が開いている瞬間がないかよく観察して、開いている時にはまめに声がけをすることも大切な役目です。叱ってばかりいるとお子さんの治療へのモチベーションが下がってしまうため、マイナス面を指摘するのではなく、プラスの方向で働きかける「褒めて伸ばす」方式を取り入れることをおすすめしています。
矯正装置をつけている間は、装置を舌や手で触らないように注意することや、装置が外れやすい粘着性の高いお菓子や固すぎる食べ物を避けるなどの食生活への配慮も必要になります。

CONTACT「笑顔になれる、元気になれる」歯科医院を目指して

当院は定期的に歯科医院に通うことで痛い思いをせずに歯を守れるということをお伝えし
患者さまが歯科治療に対してポジティブなイメージを持っていただけるよう心がけています。

お気軽にお問い合わせ下さい 0563-72-3636 〒444-0421 愛知県西尾市一色町開正出口13-4 豊山町役場停留所より徒歩2分
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